- 事務局代行
イベント運営の流れやポイントを解説!役割分担やマニュアル例も紹介
社内向けの研修や表彰式、社外向けのセミナーやプロモーションイベントなど、さまざまな目的で行われる企業イベント。各イベントの成功は、綿密な企画と事前準備にかかっているといっても過言ではありません。
しかし、イベント運営には専門的な要素も多いため、どのような流れで運営すれば良いのかわからず困っている担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、基本的なイベント運営の流れを「6W2H」にそって初心者にもわかりやすく解説しています。イベントマニュアルの記載事項や役割分担の例、代行を依頼する場合の費用などもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
「6W2H」で考えるイベント運営の流れ
イベント運営は大きく「事前準備」「当日運営」「事後処理」の3つのフェーズに分けられます。ここでは、ビジネスフレームワークである「6W2H」を使いながら、それぞれの段階ですべきことやポイントを解説していきます。
1. 事前準備
事前準備はイベントの骨子ともいえるもので、この段階の解像度によってイベントの成否が決まります。
事前準備はさまざまな要素が複雑に入り組んでいますが、「6W2H」に当てはめると考えやすくなります。
「6W2H」とは必要な情報を漏れなく整理・確認するためのフレームワークで、以下の英単語の頭文字に由来しています。
- Why(なぜ)
- Who(誰が)
- Whom(誰に)
- What(何を)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- How(どのように)
- How much(どれだけ)
この「6W2H」にイベント運営をあてはめると以下のようになり、事前準備の流れをイメージしやすくなります。
- Why(なぜ):イベント開催目的・達成したいゴールは何か
- Who(誰が):主催者・協力者などのイベント関係者は誰か
- Whom(誰に):誰に向けたイベントか
- What(何を):どのようなコンテンツのイベントをやるか
- When(いつ):イベントの開催日時はいつか
- Where(どこで):イベントの開催場所はどこか
- How(どのように):どのように告知・準備・運営をするか
- How much(どれだけ):費用・予算はいくら必要か
この骨子がしっかり組み立てられていれば、イベント当日に向けた具体的な準備や当日の運営に迷うことがなくなり、すべての工程がスムーズに進みます。
【Why・Who】イベント概要の明確化
Why(なぜ):イベントの開催目的・達成したいゴールは何か
Who(誰が):主催者・協力者などのイベント関係者は誰か
イベント運営で最も重要なことは、6W2Hの「Why」にあたる、イベントの開催目的と達成したいゴールを明確化することです。
開催目的とゴールによって、イベントのコンテンツや準備すべきものなどが決まるためです。加えて、これらを明文化しておくことで、関係者間の認識の違いやコンセプトのブレなどを防止し、成果に集中しやすくなります。
イベントの開催目的は社内向けか社外向けかによって大きく異なり、それぞれ以下のようなものが挙げられます。
社内向けイベント
- チーム・部門間の親睦を深める(忘年会・周年記念パーティーなど)
- 環境への適応・チームビルティングを図る(内定式など)
- 従業員のモチベーションアップを図る(表彰式など)
- 従業員の知識・スキルの向上を図る(研修・トレーニングなど)
社外向けイベント
- 商品・サービス・ブランドの認知度向上
- 新商品・新サービス・新ブランドのプロモーション
- 新規顧客の獲得・申し込みや契約の増加
- 既存顧客の満足度・ロイヤリティの向上
開催目的にもよりますが、イベント開催後に評価をしやすいように、ゴール設定にはなるべく数字を含めておくのがポイントです。
あわせて、そのイベントの主催者や協力者などの関係者をまとめておきましょう。これにより、できることの内容や規模感が見えてきます。
【Whom】ターゲットの設定
Whom(誰に):誰に向けたイベントか
「Why」と「Who」を明確にしたら、次は「Whom」にあたるイベントのターゲットを設定しましょう。
特に、社外向けのイベントの場合は「どんな人に参加してほしいのか」をできるだけ細かく設定するのがポイントです。具体例として、年齢層・性別・職業・役職などが挙げられます。
たとえば、ビジネス系のイベントを想定した場合、ターゲットが「入社3年目の若手社員」と「40〜50代の課長・部長クラス」とでは、コンテンツの内容や見せ方が全く異なるのは想像に難くないでしょう。
このように、ターゲット像が明確であればあるほどイベントのコンテンツは決めやすく、狙った効果を出しやすくなります。
来場者の人物像に加えて、「イベントを通して何を感じてほしいのか」「どのような状態になってもらいたいのか」などのゴール設定をすると、さらに解像度が上がります。
【What】コンテンツの企画
What(何を):どのようなコンテンツのイベントをやるか
続いて、「What」にあたるイベントの具体的なコンテンツを企画します。コンテンツを企画するうえで重要なことは、ここまでに設定してきたイベントの開催目的・ゴール・ターゲットから逆算して考えることです。
イベント運営は集客や注目を集めることや、トラブルなく円滑に運営することなどに終始しがちですが、本来の目的やゴールを果たすことに集中すべきです。
たとえば、「新規顧客の獲得」をイベントのゴールに設定していた場合、どんなに集客に成功したとしても、肝心の商品やサービスの申込みにつながらなければ「目標未達成」という評価をせざるを得ないでしょう。
なお、初めてイベントを企画する場合、開催経験はあるがより効果を高めたい場合などは、他の成功しているイベントを参考にしたり、運営代行会社などに協力を仰いだりするのもひとつの方法です。
【When・Where】イベントスケジュール・場所の設定
When(いつ):イベントの開催日時はいつか
Where(どこで):イベントの開催場所はどこか
イベント企画の骨子ができあがったら、開催日や時刻などのスケジュールと開催場所を決めていきましょう。
開催日時と会場は、来場者数に大きな影響を与える重要な要素のため、自社の都合よりもターゲット層の人たちの足の運びやすさを優先して選ぶことが大切です。また、集客を最大化するためには、その日に他のイベントが開催されていないかなどもリサーチする必要があります。
会場はイベントの規模や機材などによって選択肢が限られますが、早めに開催日時の候補を決めて会場を押さえにかかりましょう。会場予約ができてはじめて、開催日時が正式に確定するためです。
【How】告知方法・準備や運営の方法
How(どのように):どのように告知・準備・運営をするか
「How」では、以下の4点を決めていきます。
- イベントの告知方法
- イベントを運営するうえで準備するもの
- 当日の運営方法や役割分担
- 台本・マニュアル・資料・映像などの作成
「How」は、事前準備のなかで最も作業ボリュームが多いフェーズのため、十分な人員と時間をかけてひとつずつ確実にこなしていく必要があります。
イベントの告知方法は、社内向けのイベントの場合は社内サイトやメールで一斉送信などが一般的です。
社外向けのイベントの場合は、告知の効果が当日の来場者数を左右します。公式サイト・SNS・メルマガなど、ターゲット層がよく見ているであろう媒体を選択したり、クロスメディアを活用したりなど、広告効果を最大化する戦略が求められます。
準備するものはイベントによって大きく異なりますが、機材・物品・配布物など非常に多岐にわたります。
また、当日の運営をスムーズに行うために、準備段階と開催当日でそれぞれ役割分担したり、タイムテーブルやマニュアルなどを用意したりする必要があります。(役割分担の具体例やマニュアルの記載内容は後述します。)
「How」のフェーズはボリュームが大きく大変ですが、この段階をどれだけ綿密に行えたかでイベントの成否が決まります。
なお、トラブルなくスムーズにイベント運営を行うために、専門知識やノウハウを持った代行会社の力を借りるのもひとつの方法です。イベント運営はさまざまな分野の専門知識や経験値、豊富なリソースが必要不可欠なためです。
【How much】イベント予算の策定
How much(どれだけ):費用・予算はいくら必要か
「How」が具体的になってきたら、使用する会場や準備すべきものをリストアップして、費用を見積もっていきます。
全体の予算や目安は事前に組まれているケースが多いため、ここでは予算内に収まるよう費用の調査や調整などがメインになるでしょう。
少しでも費用を抑えられるよう、各方面で交渉を行うことも大切です。
2. 当日準備・運営・撤収
イベント当日は、開始前の準備・実際の運営・完了後の撤収作業の3つを行います。開始前の準備では、以下のようなものが考えられます。
- 受付・配布物などの準備
- 会場設営
- 台本との照らし合わせ、リハーサル
- 音響・照明などの機材チェック
当日はこれまでとは異なる大変さがありますが、事前準備が綿密にできていればあらかじめ設定した計画とスケジュールに沿って行動するだけです。
物品の到着遅れや機材トラブルなど、想定外の出来事が起こる可能性があります。また、会場は予定時間を超過すると追加料金が発生する場合もあります。
有事の際でもリカバリーが利くよう、十分余裕をもってスケジューリングしておくことが大切です。
3. 終了後の作業
イベント終了後は、参加者へのフォローと振り返りを行います。
当初設定したイベントの開催目的やゴールが実現できたかどうかをもとに、達成度合いの評価や効果測定を実施します。同時に、イベント参加者にお礼の連絡などを行い、アフターフォローをしておきましょう。
一方で、次回以降のイベントがより良いものになるよう、うまくいった点や改善点を洗い出しておくことが重要です。
運営スタッフからフィードバックを集めたり、イベント参加者にアンケートへの協力を呼びかけたりして、双方向からイベントに対する意見や評価を集めると良いでしょう。また、コンテンツへの参加人数や配布物の配布数などを記録しておき、評価に加えるのも良い方法です。
イベント運営のマニュアル
イベント運営は、非常に多くの作業や役割が複雑に絡み合っているため、事前準備や当日の運営などをスムーズに行うためにはマニュアルの作成が必要不可欠です。
マニュアルがあることで関係者全員が全体像を理解しながら共通認識を持てるため、進行がスムーズになるだけでなく、イベント全体の質の向上にもつながります。
以下でマニュアルに記載すると良い代表的な項目を紹介します。
-
イベント概要
イベント名・開催日時・場所・主催者・協力者・イベントの開催目的・テーマなどの基本情報。
-
組織図
運営組織の全体像・部門やスタッフの役割分担や責任範囲など。代行会社や協力会社がある場合はそれも含めて記載。
-
会場情報
開催場所の住所・地図・最寄り駅・アクセス方法などを記載。
-
イベントプログラム
当日の流れやプログラムを箇条書きで記載。
-
タイムスケジュール
物品の搬入やリハーサルも含め、当日の流れや担当者を時系列で記載。
-
施設・設備・機材
当日利用する会場・控室・クロークなどの場所や利用時間・使用する機材のリスト・管理責任者などを記載。場合により、最寄り駅や会場内外の案内表示なども記載。
-
会場のレイアウト
利用する会場や控室などの位置関係を示す図面を記載。
-
役割分担・責任者
統括責任者から受付・機材操作など、誰が何の作業を担当するのか、そのセクションの責任者は誰かを記載。
-
トラブル対応
災害や急病人などの対応方法や避難経路、誘導などに関する項目。会場設備や機材トラブルが発生した場合の対応方法や連絡先なども記載。
-
撤収作業
終了時間や設備の搬出方法、原状回復の方法などを記載。
上記は全関係者に共有するマスター情報の一例です。この他、イベントの規模や役割の多さによっては、各役割毎・セクション毎にタイムテーブルや機材の操作方法などをまとめたマニュアルを用意すると良いでしょう。
各セクションでマニュアルに沿ってリハーサルやシミュレーションを行うことで、さらなる質の向上が期待できます。
イベント運営における役割分担
イベント運営をスムーズに進めるうえで重要なのが役割分担です。
イベント運営は、「事前準備」と「当日対応」の2つのフェーズに分けられ、それぞれ発生する仕事の内容が大きく異なるため、各フェーズごとに役割分担を行っておく必要があります。
なお、実施するイベントの内容や規模などによって必要な役割や人数も異なります。以下で紹介する役割を参考に、必要に応じてカスタマイズすると良いでしょう。
1. 事前準備に必要な役割
事前準備に必要な役割には、以下のようなものが挙げられます。
事前準備の役割分担
イベント全体の責任者 | イベント全体のまとめ役・調整役 |
---|---|
イベント企画 | イベントの内容や素案を企画する |
会場担当 | 会場探し・下見・予約・会場担当者との連絡窓口 |
手配担当 | ゲスト・司会者・外部協力会社などの「人」の手配 飲食物・景品・配布物などの「物」の手配 |
機材・備品担当 | 必要な機材や物品のリストアップ 見積もり・手配・レンタル会社との連絡窓口 |
制作担当 | パンフレット・ポスター・看板などのデザイン・制作 告知文・映像などの制作 |
広報・PR担当 | マーケティング・イベント告知などの集客全般 |
2. 当日運営に必要な役割
当日運営に必要な役割には、以下のようなものが挙げられます。
当日対応の役割分担
総合ディレクター | イベントの進行・リハーサルなどのまとめ役 |
---|---|
司会者 | イベント当日の司会進行 |
ステージ担当 | ステージ上の設備・転換・補助 |
会場担当 | イベント会場の運営会社・担当者とのパイプ役 |
場内担当 | 場内における参加者やゲストの誘導・アテンド |
場外担当 | 最寄り駅・駐車場・会場入口など場外における誘導 |
受付担当 | 来場者の出席確認・配布物の手渡し・クローク対応 |
搬入・搬出担当 | 機材・備品の搬入・搬出の指揮
※事前準備の「機材・備品担当」が行うのが望ましい |
会場機材担当 | 会場に備え付けられている音響・照明などの機材管理 |
撮影担当 | 写真・動画を撮影するカメラマン |
3. 状況に応じてアウトソーシングも検討
イベントの規模や内容によって必要な役割は異なるものの、ミスなくスムーズに準備や進行を行うには、綿密な準備に加え、十分なリソースと適切な役割分担が必要です。
しかし、イベント運営を滞りなく行うには専門的な知識やスキルが求められるため、社内にノウハウがなかったり、リソースが足りなかったりといった問題も起こりがちです。
このような不足を補い、イベントの成功率や効果を高めるうえで、専門知識やノウハウを持った代行会社の力を借りるのもひとつの方法です。
代行会社によって対応できる範囲は異なりますが、基本的にはオーダーメイドで必要な作業・役割のみを依頼することも可能です。
イベント運営代行について
イベント運営のアウトソーシング先として、イベント運営代行や事務局代行があります。これらの代行会社は、専門知識やノウハウを駆使して、主催企業に代わってイベントの企画や事前準備、当日運営などを行います。
代行会社を利用する主なメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 自社の負担を軽減できる
- 質の高い事務局運営が実現できる
- セキュリティリスクを軽減できる
- 効果的なフィードバックを受けられる
ここからは、イベント運営のひとつの選択肢として、イベント運営代行の概要を紹介します。
1. イベント運営代行に依頼できる業務
イベント運営代行には以下のような業務を依頼できます。
-
企画立案業務 -
ホームページ・
LP作成業務 -
受付・問い合わ
せ対応 -
各種事前準備 -
当日の
イベント運営 -
事後処理・
フォロー業務
代行会社によって対応できる範囲は異なりますが、このうちの一部の業務だけを切り取って委託する、または企画段階から入って伴走してもらうなど、自社の状況に応じて柔軟に不足分を補えるのが特長です。
なかには、イベントアンケートなどのデータを集計・分析し、改善提案をしてくれる代行会社もあります。プロの目線でアドバイスしてもらうことにより、自社にはなかった発想でより効果的な改善を図れるケースもあります。
2. イベント運営代行の費用相場
イベント運営代行の費用相場は、実施するイベントの種類や規模、委託する作業などによって数十万〜数百万円と大きく異なります。
あくまでも目安ですが、イベント内容と規模による費用は以下の通りです。
イベント種別 | 参加人数 | 費用目安 |
---|---|---|
講演会・セミナー | 100名程度 | 30〜100万円 |
社内イベント・パーティー | 200〜300名程度 | 150〜300万円 |
商品・サービスの
プロモーションイベント |
- | 200〜500万円 |
イベント運営代行の費用の内訳は、以下のような項目で構成されているのが一般的です。
- 会場費
- 制作費
- 人件費
- 企画費
- 運営費
- 機材費
- その他演出費
このうち、特に費用が高くなる傾向にあるのが会場費です。収容人数や設備などによって選択肢が限られますが、自治体が運営するスペースなどを選ぶことで費用を抑えられる可能性があります。
また、舞台演出や映像制作に力を入れている代行会社では、デザイン費や制作費が高く設定されている場合もある一方で、当日の運営代行のみ依頼する場合はかなり安価に収まるケースもあります。
まずは代行会社に相談して見積もりをしてもらい、自社のニーズやリソースに合わせて外注する範囲や費用を調整すると良いでしょう。
イベント運営の活用事例
最後に、弊社が提供しているイベント運営代行サービスの具体的な活用事例を1つ紹介します。
金融系企業の資産運用イベント
イベント内容 | 金融企業の資産運用イベント |
---|---|
同社の課題 | 社内のリソース不足 |
対応規模 | 約80社が出展 |
委託業務 | 【事前準備】
|
同社からは、イベントのWebページにおける出店者ページの編集に関する問い合わせ対応をご依頼いただきました。
主な連絡手段はメールと電話であり、いずれもお客様が提供する専用システムを使って一次対応を実施。メールは当社が問い合わせを受けて返信内容を作成し、お客様が内容の確認と承認を行った後、送信するというオペレーションでした。
これにより、お客様のご担当者様は対応内容に関する二次チェックのみで済むため、限られたリソースの大半を対応品質の向上に集中することができました。
まとめ
社内向け・社外向けに数多く開催されているさまざまなイベント。
当日の運営にフォーカスされがちですが、イベントの成否は綿密な事前準備によって決まるといっても過言ではありません。また、イベント運営は事前準備と当日運営に分けられ、さまざまな業務が複雑に絡み合っているため、企画の立案には経験や慣れが必要です。
加えて、イベントの種類や規模によっては多くの役割と人員が必要になり、どのように振り分けるかも重要です。
このように、イベント運営には多岐にわたる専門知識や経験、十分なリソースが必要なため、運営代行会社に業務を委託したり、アドバイスを仰いだりする企業も少なくありません。
シティコンピュータ株式会社では、目的に応じてイベントの企画段階から後作業まで最適な方法やアプローチを提案し、目標達成を後押しするイベント運営代行サービスを提供しています。
イベント運営にお困りの方、代行会社をご検討の方はお気軽にご相談ください。