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データ化業務/ スキャニング/ 2024.05.29 2024.06.07

ペーパーレス化の方法10選!具体的な導入手順や進め方のポイントも解説

ペーパーレス化の方法10選!

紙で運用していたさまざまなものをデータに置き換えるペーパーレス化。電子帳簿保存法対応のほか、業務の効率化やコスト削減にもつながることから、多くの企業で実践されています。

自社でもペーパーレス化を実行しようと考えつつも、具体的な方法がわからなかったり、着手後にさまざまな問題が起きて頓挫してしまったというケースも多いのではないでしょうか。

本記事では、ペーパーレス化の概要や具体的な方法、推進するうえでの手順などを網羅的に解説します。ペーパーレス化で効率化を図りたい方、スムーズにペーパーレス化を推進したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

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ペーパーレス化には2種類ある

ペーパーレス化には2種類ある

ペーパーレス化には、大きく以下の2種類があります。

  • 今後の業務で発生する書類・資料などを電子化する
  • 既存の書類・資料などを電子化する

将来的な施策やメリットにばかり目が行きがちですが、既存の書類・資料も形式を合わせておかないと、業務上のさまざまな場面で不便や不都合が生じる可能性があります。

このような事態に陥ると、社内の各所から不満の声が上がったり、著しく業務効率が低下したりして、ペーパーレス化を断念してしまうケースも珍しくありません。

ペーパーレス化は、未来と過去の両面において対策を講じる必要があり、それぞれ手順や使用するツール・システムなどが異なることを理解しておく必要があります。

今後発生する書類・資料などをペーパーレス化する方法8選

今後発生する書類・資料などをペーパーレス化する方法8選

まずは、今後発生する書類・資料などをペーパーレス化する方法を8つ紹介します。

  1. 保存方法を印刷からデータに変える
  2. 紙ベースの配布物・郵送物をメールに変える
  3. FAXを電子化する
  4. 社内にビジネスチャットツールを導入する
  5. 電子契約サービスで契約書を電子化する
  6. 業務にタブレットなどのデバイスを導入する
  7. 紙ベースの社内申請・承認を電子化する
  8. ワークフローシステムを導入する

保存方法を印刷からデータに変える

比較的簡単に始められるのは、これまで紙に印刷していたものをPDFなどのデータで保存する方法です。簡単でありながら、実行後すぐに目に見える効果が期待できます。

紙ベースだった書類や資料をデータ化する具体的な方法として、以下の2つが特に手軽でおすすめです。

  • Microsoft Wordなどに搭載されているエクスポート機能や書き出し機能を使う
  • 専用の変換サービス・アプリなどを使う

WordやExcelなどにはエクスポート機能が標準搭載されており、作成した文書や資料を簡単にPDF化できます。

また、Web上にはアップロードしたファイルをPDFに変換するオンラインサービスや、ツール・アプリなどが有料・無料問わず無数に存在します。

ただし、保存データは時間経過とともに増え続ける傾向にあるため、データの置き場所としてローカルディスクの拡張やクラウドストレージを併用したり、定期的なデータの整理方法も整備しておく必要があります。

紙ベースの配布物・郵送物をメールに変える

紙ベースの配布物・郵送物をメールに変えるのも立派なペーパーレス化のひとつです。

たとえば、社内で使用する会議資料やプレゼン資料、社外に送付する請求書などをデータ化して送る方法が考えられます。会議資料の場合、配布する資料は事前にメールで送っておき、会議中はWeb会議システムで画面共有すればペーパーレス化を実現できます。

改ざん・変更されると不都合なものはPDFで、必要箇所を記入してもらいたいものはWordやExcelにするなど、用途に合わせてファイル形式を工夫すると良いでしょう。

配布物や郵送物はPCで作成しているケースが大半のため、印刷していたものをデータのまま使うだけで手間と費用の大幅な削減につながります。

FAXを電子化する

日常的にFAXを利用している場合は、「ペーパーレスFAX」がおすすめです。

ペーパーレスFAXとは、複合機やコピー機で受信したFAX文書を、印刷せずにデータ化して保存する機能です。ペーパーレスFAXを活用することで、従来のFAXによるやり取りをメールやデータの送受信に近い感覚で運用できるようになります。

なお、ペーパーレスFAXには以下のようなメリットもあります。

  • ランニングコストを削減できる(用紙代・トナー代・メンテナンス費用など)
  • 機器が近くに無くてもFAXの受信状況・内容をチェックできる
  • 受信した内容をそのままデータとして保存・再利用・送信できる

社内にビジネスチャットツールを導入する

社内のコミュニケーションツールにビジネスチャットツールを導入するのもペーパーレス化に有効です。ビジネスチャットツールはメールよりも手軽に利用できるうえ、データの送受信も容易なためです。

データのやり取りを簡単・便利にすることで利用率が高まっていくため、必然的に組織全体にペーパーレス化が浸透しやすくなります。

一方で、紙媒体を機械的に電子化するだけでは、個人レベルでの利便性や業務効率が低下する恐れがあります。ペーパーレス化と並行して、紙からデータに置き換えても不便を感じないような環境づくりをすることも大切です。

電子契約サービスで契約書を電子化する

電子契約サービスを活用して、紙ベースの契約書を電子化する方法もあります。

電子契約とは、紙への押印を電子署名に置き換えて、オンライン上で締結する契約のことです。電子署名は「電子証明書」と「タイムスタンプ」で本人性を担保する仕組みで、紙への押印と同等の法的効力があります。

電子契約によって対面が不要になるため、以下のようなメリットも発生します。

  • 契約締結にかかる時間・工数を短縮できる
  • 郵送の手間がなくなる
  • 製本の手間がなくなる
  • 保管スペースが不要になる

業務にタブレットなどのデバイスを導入する

会議室や作業現場に、タブレットなどのデバイスを導入するのもおすすめです。

たとえば、現場にタブレットがあれば必要な資料や情報に簡単にアクセスできたり、周囲に共有できたりと、データの利便性が向上します。また、大型のモニターに映せば、複数人で同時に1つの資料やデータを見れるようになります。

このような方法は建設現場などで実際に導入されており、ペーパーレス化と業務の大幅な効率化に成功しています。

紙ベースの社内申請・承認を電子化する

社内申請・承認は、「PCで書類を作成→印刷→回覧→押印→回収」と工数が多くなりがちですが、これも比較的簡単にペーパーレス化できます。

たとえば、申請書をデータによるメール送付に置き換えて電子印で押印すれば、従来の物理的な手間を大幅に削減できるでしょう。

費用はかかりますが、次項のワークフローシステムを導入することでも申請・承認のペーパーレス化や業務効率化が可能です。

ワークフローシステムを導入する

ワークフローシステムを導入することで、バックオフィスをはじめとするさまざまな業務の電子化を実現できます。

ワークフローシステムとは、社内申請・稟議などの業務上の手続きを電子化する仕組み、またはソフトウェアのことです。上記のほかに、経理・勤怠管理・備品管理など、社内に紙ベースの手続きが多ければ多いほど、ワークフローシステムによる電子化の恩恵が大きくなります。

ただし、ワークフローシステムの導入は、メリットが大きい一方で以下のようなデメリットも存在します。

  • 導入・運用にコストがかかる
  • 業務フローの大幅な変更にともない、定着までに手間と時間がかかる
  • 不便だと利用されない恐れがある

各社の状況にもよりますが、自社におけるメリット・デメリットを鑑みて、慎重に導入を検討する必要があります。

今後発生する書類・資料などをペーパーレス化する7つの手順

今後発生する書類・資料などをペーパーレス化する7つの手順

今後発生する書類・資料などをペーパーレス化する際の手順は以下の7ステップです。

  1. 解決したい課題や導入目的を明確にする
  2. 電子化の範囲と優先順位を決める
  3. 文書の保存期間・保存方法などを明確化する
  4. 使用するツール・システムを選定する
  5. テスト運用を実施する
  6. 業務フローの見直し・ルールの策定を行う
  7. 社内周知・研修の実施

手順① 解決したい課題や導入目的を明確にする

まずは解決したい課題や導入目的を明確にしましょう。目的が曖昧なまま導入しても効果を実感できなかったり、期待する効果が得られなかったりするためです。

ペーパーレス化の主な目的は、業務の効率化・コスト削減・セキュリティ対策・人為的ミスの防止などが一般的です。課題をより明確にしたい場合は、現場スタッフにヒアリングしてみると良いでしょう。

可能であれば、この段階でツールやシステムにかけられる予算や、削減できるコストの試算を行い、必要に応じて決裁者や経営陣からの理解を得ておくとスムーズです。

手順② 電子化の範囲と優先順位を決める

解決したい課題を洗い出したら、ペーパーレス化を行う範囲と優先順位を決めます。ペーパーレス化とひとくちに言っても、解決したい内容によって施策の規模感やコストなどが大きく異なるためです。

一気にすべてを実行できるのが理想かもしれませんが、コストやリソース面などから考えて現実的ではない場合もあります。また、既存の業務フローを大幅に変えることで、社内に混乱が起きる可能性も考慮する必要があります。

このようなトラブルを未然に防止するためにも、優先順位の高いものから着手し、ブラッシュアップしながら段階的に広げていくことが大切です。

手順③ 文書の保存期間・保存方法などを明確化する

電子化する範囲を決めたら、該当する文書の保存期間・保存方法を明確にしましょう。紙かデータかに関わらず、法令で一定期間の保管を義務付けられているものがあるためです。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 契約書:契約書の種類によって7〜10年程度保管
  • 請求書:法人の場合は原則7年間保管
  • 領収書:法人の場合は原則7〜10年保管

なお、これらの文書を電子化して保存することで、以下のようなメリットがあります。

  • 紛失リスクを軽減できる
  • 印刷代・印紙代・郵送費などを削減できる
  • 物理的な保管スペースを削減できる
  • 検索により必要な情報にアクセスしやすくなる

文書を適切に管理するには専門的な法律知識が必要になります。社内に専門人材がいないなど、不安な場合はプロや専門家に依頼しましょう。

手順④ 使用するツール・システムを選定する

ここまでに設定してきた条件をもとに、実際に使用するツール・システムを選定します。

ペーパーレス化に活用できるツール・システムは無数にあるため、機能や料金、カスタマイズ性などを比較して、自社に最適なツール・システムを選定することが大切です。

あわせて、サポート体制も必ずチェックしましょう。サポート範囲や対応してくれる時間帯、連絡手段などは提供する企業によって異なります。

特に、社内にツールやシステムの運用ができる専門人材・部署がない場合は、導入後も継続的にサポートしてくれるものを選ぶと安心です。

手順⑤ テスト運用を実施する

使用するツール・システムの目星が付いたら、導入前にテスト運用を実施しましょう。

どんなに高性能・多機能なものであっても、不要な機能ばかりでは結果的に無駄なコストが発生してしまいます。また、担当者にとって使いづらいものではなかなか浸透せず、形骸化してしまう可能性もあります。

選定したツールやシステムにもよりますが、デモ運用や無料期間が設定されている場合は積極的に活用しましょう。

手順⑥ 業務フローの見直し・ルールの策定を行う

続いて、実際の業務フローの見直しやルールの策定を行います。

ツールやシステムのテスト運用から、何が必要で、何が不要になるか、業務フローはどう変える必要があるかなどが明確になってくるはずです。

導入時の混乱や運用時のトラブルを未然に防止できるよう、周辺環境を整備していきましょう。これと並行して、利用上の注意点やマニュアルの整備を行うのもおすすめです。

なお、ここでいうルールとは、ファイルの保存場所・アクセス権・共有方法・保管期間・破棄方法などが該当します。

手順⑦ 社内周知・研修の実施

業務フローやルールの策定ができたら、導入に向けて社内周知や研修を実施します。

ツールやシステムは導入して終わりではなく、使用する人たちの協力が欠かせません。単にシステムやツールの導入を周知するのではなく、ペーパーレス化の一環であることや、導入の意義・目的・メリットなどをしっかり伝え、理解を得ることが大切です。

利用するサービスによっては、フェーズごとにマニュアルが用意されていたり、オンラインや訪問によって研修を実施してくれたりする場合もあるため、積極的に活用しましょう。

既存の書類・資料などをペーパーレス化する方法2選

既存の書類・資料などをペーパーレス化する方法2選

ここからは、既存の書類・資料などをペーパーレス化するケースについて解説します。主な方法は以下の2つです。

  1. OCR
  2. スキャニングサービス

OCR

手書きや活字の書類が多い場合は、OCRによる電子化がおすすめです。

OCRとは、手書きを含む文字や文章を、スキャナーやカメラで読み取って電子化する方法のことで、「光学的文字認識」とも呼ばれています。OCR自体は古くから活用されてきた技術ですが、スキャナーやソフトウェアを使った従来の方法のほかに、以下のようなツールが登場しています。

  • OCRアプリ:スマホ・タブレットのカメラで読み取る
  • AI OCR:AIにより文字の認識率を高めたもの

既存のOCRは、専用の機材を用意する必要がある点と、実行時の認識率が課題でしたが、アプリとAI OCRの登場によってこれらの課題が改善され、安価で手軽なものになっています。

スキャニングサービス

電子化したい書類が大量にある場合、電子化業務のリソースを確保できない場合などは、専門のスキャニングサービスを活用するのもひとつの方法です。

書類が少なければ手作業で事足りる場合もありますが、書類の量が増えれば増えるほど手間と時間が増加するため、通常業務と並行して行うにはどうしても限界があります。

シティコンピュータのスキャンサービスでは、高いセキュリティ体制と品質管理の元、名刺や契約書をはじめとするあらゆる書類の電子化サービスを提供しています。

電子化したい書類が大量の場合に加えて、自社で書類を電子化する設備がない場合、人的リソースを割くのが困難な場合にも非常に有効です。

BPO業界で35年の実績を持つシティコンピュータは、幅広い文書の電子化に関する豊富な経験があります。お客様のペーパーレス化に関する疑問やお悩みに、最適なソリューションをご提案いたします。

シティコンピュータのスキャンサービスの特徴は以下の通り。

  • 文書情報管理士の資格を有するスタッフが安全・高品質なスキャンを提供
  • 35年以上のBPO分野で培った実績と専門技術で、多様なペーパーレス化のご要望に柔軟に対応可能
  • ファイル名、フォルダ整理、文書管理システムなど、ペーパーレス化の利益を最大限に引き出すご提案

ペーパーレス化をご検討の場合は、ぜひシティコンピュータまでご相談ください。

既存の書類・資料などをペーパーレス化する3つの手順

既存の書類・資料などをペーパーレス化する3つの手順

既存の書類・資料などをペーパーレス化する際の手順は以下の3ステップです。

  1. 既存の書類・資料を仕分けする
  2. 電子化を自社で行うか外注するかを決める
  3. 委託先を選定して見積もりを取る

手順① 既存の書類・資料を仕分けする

書類は種類によって性質やその後の扱いが異なるため、既存の書類・資料は以下の手順で仕分けしましょう。

  1. 「残すもの」「破棄するもの」に分ける
  2. 残すものを「電子化するもの」「しないもの」に分ける
  3. 電子化するものを「電子化後も原本を保管するもの」「破棄するもの」に分ける

上記の手順で、最終的に以下の4つに分類できるとその後の作業がスムーズです。

  • 何もせず破棄するもの
  • 電子化後、廃棄するもの
  • 電子化後、原本を保管するもの
  • 電子化せずに原本を保管するもの

手順② 電子化を自社で行うか外注するかを決める

電子化する書類を分類できたら、電子化作業を自社で行うか、外注するかを検討します。

自社で行う場合、費用を少なく抑えられる反面、人的リソースや時間がかかったり、設備や機材に思わぬ費用がかかったりする可能性があるため、慎重に判断する必要があります。

一方、電子化を外注する場合は、自社の人的リソースを割かずにスピーディーかつ高品質なペーパーレス化が可能です。ただし、外注費用がかかる点、書類を社外に持ち出す必要がある点に注意が必要です。

どちらも一長一短なため、書類の量や状況に応じて自社に合った方を選ぶと良いでしょう。

手順③ 委託先を選定して見積もりを取る

電子化を外注する場合は、複数の業者から相見積もりを取りましょう。

見積りの際は「何に」「いくらかかるか」が重要です。業者によって内容が大きく異なるため、価格のほかにも電子化の品質・対応範囲・セキュリティ体制などを比較する必要があります。

複数社から相見積もりを取ることで、適正価格や相場感などがわかり、比較がしやすくなるでしょう。

まとめ

業務の効率化、コストカット、電子帳簿保存法への対応などの観点から、多くの企業で実施されているペーパーレス化。
実施する際は、今後発生する書類・資料に対する施策と、既存の書類に対する施策を行う必要があり、その手順や方法は異なります。
将来的なペーパーレス化にばかり目が行きがちですが、既存の書類も電子化しておかないと、社内からの不満や生産性の低下を招きかねないため注意が必要です。
既存の書類をペーパーレス化するうえで、以下のような場合は専門のスキャニングサービスの利用がおすすめです。

  • 電子化する書類が膨大
  • 電子化作業を行う人的リソース・余裕がない
  • 保存義務に関する知識がなく不安
  • 電子化すべきか否か、保存すべきか否かの判断が困難

シティコンピュータのスキャニングサービスでは、高い品質とセキュリティを担保しつつ、幅広い業務に対応するサービスを提供しています。既存の書類のペーパーレス化をお考えの際はぜひご活用ください。