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データ化業務/ スキャニング/ 2023.05.19 2023.10.13

領収書の電子化とは?手順やルール・おすすめアプリも解説

業務効率化の一環としてDX化を進めている企業の中には、領収書の電子化を検討するケースも増えています。しかし、「どのように保存すれば良いか」「逆に業務が増えそう」など悩んでいる担当者も多いでしょう。
そこで本記事では、領収書の電子化を進める手順や義務化される保存区分、メリット・デメリットを解説します。おすすめのアプリ・ソフトにスキャナ保存のやり方も掲載しているので、領収書の電子化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

領収書の電子化とは

領収書の電子化

領収書の電子化とは、受領した領収書の電子データ保存や、デジタル形式による発行を指しています。電子帳簿保存法では、3つの保存区分が定められているため、あわせて押さえておきましょう。

保存区分 概要 対象文書の例
電子帳簿等保存 国税関係の帳簿や書類を電磁的に作成し、電子データとして保存する
  • 帳簿関係(仕訳帳や出納帳など)
  • 決算関係(損益計画書や賃貸対照表など)
  • 取引関係(契約書/請求書/領収書などの控え)
スキャナ保存 紙媒体で作成・受領した文書を画像データに変換して保存する
  • 取引関係(契約書/請求書/領収書などの原本)
電子取引データ保存 電磁的にやり取りされた情報を電子データとして保存する*1
  • 取引関係(契約書/請求書/領収書などの原本や控え)
  • 電子取引(電子契約やメールなど)

*1 出力して保存、あるいは出力したものをスキャナ保存することは不可
参照:国税庁「電子帳簿保存時の要件

上記のうち、受領側の基本的な対応方法は「紙領収書をスキャナ保存」「電子取引情報をデータとして保存」のいずれかになります。
参考までに、書面で受け取った領収書は従来通り紙媒体での保存も可能です。とはいえ、領収書の保存方法が複数あると、管理が煩雑になります。業務効率を改善させたい場合は、紙領収書をスキャナ保存し一元管理できる体制を整えると良いでしょう。

領収書の保存方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:領収書の適切な保存方法|改正電子帳簿保存法とインボイス制度のポイントについても解説

2024年1月1日から電子取引データ保存が義務になる

電子帳簿保存法は2022年1月1日に改正され、領収書など税務に関係する書類のデータ保存が可能となりました。そして、前述した保存区分のうち、「電子取引データ保存」は2年間の猶予期間が設けられていましたが、2024年1月1日から義務化されます。
なお、領収書の電子化に関係する電子帳簿保存法の改正内容は、主に次の4つとなります。

改正内容 改正前 改正後
事前申請の廃止 所轄の税務署への申請が必要 電子帳簿保存法の要件を満たせば、即座に電子保存が可能
タイムスタンプ要件の緩和
  • タイムスタンプ付与の期限は受領から3日間
  • スキャン時に受領者の自署が必要
  • タイムスタンプ付与の期限は受領から最長で2か月とおおむね7営業日以内
  • 受領者の自署は不要
  • 訂正削除記録が残る、または当行為ができないシステムに保存する場合はタイムスタンプも不要
事務処理要件の廃止 適正な事務処理に向けて、職務分掌などの体制づくりが必要 左記の規定は廃止
検索要件の緩和
  • 取引年月日や勘定科目、取引金額、その他帳簿の種類に応じた主要な記録項目の設定が必要
  • 日付または金額の範囲指定で検索できる状態
  • 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できる状態
  • 取引年月日や取引金額、取引先のみの設定でOK
  • 税務署の求めに応じてダウンロードできる場合は検索要件への対応は不要

参照:国税庁「電子帳簿保存法

上表の通り、領収書を始めとするさまざまな書類が以前より簡単に電子化できるようになりました。ただし、要件を満たせない場合のペナルティなども設けられているため、一つひとつ確認して漏れなく対応できるようにしましょう。

領収書を電子化するメリット

領収書を電子化するメリット

領収書の電子化は、発行側と受領側の双方にメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

発行側のメリット

領収書の電子化で発行側が得られるメリットは、主に次の3つです。

  • 金銭的コストを削減できる(紙・印刷代や印紙代、切手代など)
  • 領収書の作成業務や郵送などの事務処理の負担が軽減する
  • データによる一元管理により、企業全体の業務効率化が進む

特にデータの一元管理は、営業や経理などさまざまな部署の業務効率化が期待できます。
たとえば、営業部門はファイル名から過去の取引情報を検索しやすくなるでしょう。また、経理は共有された情報を経営状況の把握や分析に役立てられます。
創出された時間はより重要なコア業務に充てられるため、企業の成長を加速させることが可能です。

受領側のメリット

領収書の電子化で受領側が得られるメリットは、主に次の4つです。

  • 保管スペースを用意する必要がない
  • 保管用ファイルなどの物品経費を削減できる
  • 紛失や破損、汚れなどのリスクが低い
  • 経理担当者の負担が軽減する

経理担当者は内容のチェックや仕訳伝票との突合を行う頻度が減り、業務効率化が大きく進むでしょう。加えて、保管用ファイルやキャビネットを準備する必要がなく、備品のコストも大幅に削減できます。

領収書を電子化するデメリット

領収書を電子化するデメリット

領収書を電子化する最大のデメリットは、PCやアプリ・ソフトのシステムダウンによって業務停滞やデータが破損・紛失するリスクがある点です。当然、発行・受領側の双方に起こり得るため、管理と保管に万全を期したい場合は、外付けハードやクラウドにバックアップデータを保存すると良いでしょう。
また、発行側は電子化に必要な機材やアプリ・ソフトの導入に費用がかかります。ただし、業務効率化が進めば自然と費用対効果が高まるため、さほど大きなデメリットには感じられないでしょう。

領収書の電子化で押さえたい2つの保存要件

領収書の電子化で押さえたい2つの保存要件

ここからは、電子帳簿保存法で定められた3つの保存区分のうち、領収書が関わる区分について詳しく解説します。

スキャナ保存の要件

領収書を書面で受領した場合は、基本的にスキャナ保存を行います。領収書は重要書類にあたり、「真実性の確保」と「可視性の確保」に含まれるすべての要件を満たさなければなりません。

【真実性の確保】

  • 入力期間の制限
  • 入力者等情報の確認
  • 電子計算機処理システム
    • 一定水準以上の解像度による読み取り(200dpi以上)
    • カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調以上*2
    • タイムスタンプの付与*3
    • 解像度および階調情報の保存
    • 大きさ情報の保存*4
    • バージョン管理(訂正または削除の事実および内容の確認など)

*2 約1677万色
*3 期間内に入力した事実を確認できる場合は不要
*4 書類の大きさがA4以下の場合は不要

【可視性の確保】

  • スキャンした文書と帳簿の相互関連性の保持
  • 見読可能装置*5の備え付け
  • 整然・明瞭出力
  • 電子計算機処理システムの開発関係書類などの備え付け
  • 検索機能の確保

*5 カラーディスプレイ(14インチ以上)や4ポイントの文字を認識できるもの

参照:国税庁「電子帳簿保存法
参照:国税庁「電子帳簿保存時の要件

すなわち、スキャナ保存によって作られた画像データは正しく、かつ簡単に内容を確認できる状態であることが大切です。なお、入力期間の制限について詳しく知りたい方は、次項の「領収書の電子化で注意するべき2つのルール」を参考にしてみてください。

電子取引データ保存の要件

メールやWeb上でのやり取りなどを通じて領収書を受領した場合に選択するのが、電子取引データ保存です。満たす必要がある要件は主に以下4つとなります。

  • システム概要に関する書類の備え付け
  • 見読可能装置の備え付け
  • 検索機能の確保
  • データの真実性を担保する措置

なお、真実性の担保についてはA~Dのいずれかを選択しなければなりません。

  1. タイムスタンプが付与されたデータを受け取る
  2. 受け取ったデータにタイムスタンプを付与する
  3. データの訂正削除履歴が残るシステムや、そもそも訂正削除ができないシステムで行う
  4. 不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を制定し、遵守する

参照:経済産業省「ミラサポplus

このうち、多くの企業はDの「事務処理規程の制定と遵守」を選択しています。取引先がタイムスタンプを付与していないなど、不測の事態にも対応できるため、特別な事情がない限りはDを選んでおけば問題ないでしょう。

領収書の電子化で注意するべき2つのルール

領収書の電子化で注意するべき2つのルール

領収書の電子化で注意したいのは、次の2点です。

  • 入力期限の制限
  • 原本の保管と破棄

それぞれ詳しく確認していきましょう。

入力期限の制限

領収書をスキャナ保存する場合は、指定された期限内にタイムスタンプを付与する必要があります。具体的な方式としては、早期入力方式と業務処理サイクル方式の2通りです。

入力期間の種類 タイムスタンプ付与の期限
早期入力方式 領収書の受領からおおむね7営業日以内に入力
業務処理サイクル方式 領収書の受領から最長2か月とおおむね7営業日以内

参照:国税庁「電子帳簿保存法

上表の通り、業務処理サイクル式なら最長2カ月程度の猶予がありますが、処理を先延ばしにするのは基本的に望ましくありません。タスクを溜めてしまわぬよう、可能な限り速やかに対応できる仕組みを作りましょう。

原本の保管と破棄

電子化した領収書の原本(紙の領収書)は、第三者による定期検査が終了すれば破棄できます。定期検査は年1回以上行うよう定められていることから、原本の保管期間は最長1年程度と考えて良いでしょう。
また、原本を破棄しても電子データは7年間の保管義務があります。書面と電子データ、それぞれの保管義務や期間について混同しないよう注意してください。

参照:国税庁「電子帳簿保存法

領収書の電子化を進める3つの手順

領収書の電子化を進める3つの手順

領収書の電子化を進める際は、以下3つのステップがおすすめです。

  1. 社内ルールの策定
  2. 電子化アプリ・ソフトの導入
  3. 関係書類の準備

それぞれ詳しく見ていきましょう。

社内ルールの策定

まずは、現状の業務フローを見直しながら、領収書の電子化に向けて社内ルールを策定します。具体的には、次に挙げるような内容の検討が必要です。

  • 電子化の流れ
  • 定期検査の担当者や頻度
  • トラブル発生時の対応 など

参考までに、スキャナ保存の大まかなモデルフローは以下の通りとなるため、仕組みづくりが難航している場合は、ぜひ取り入れてみてください。

  1. 取引先から紙の領収書を受け取る
  2. 各部門でスキャンし経理部へ送付する
  3. 経理部で仕訳データを確認しながら保存する

定められた要件を満たしつつ、自社の実情に合った社内ルールを策定していきましょう。

電子化アプリ・ソフトの導入

次に、電子化アプリ・ソフトの導入を進めます。電子化によって逆に業務が増えないよう、データの回覧やアップロードの手間が増えないシステムがおすすめです。具体的には、各部門の担当者や上長などが簡単にアクセスや閲覧、タイムスタンプを押せるものが良いでしょう。
代表的なアプリ・ソフトについて知りたい方は、次項の「領収書の電子化でおすすめのアプリ・ソフト5選」もあわせてチェックしてみてください。

関係書類の準備

保存方法によっては、関係書類の準備も必要になります。例えば、電子取引データ保存で「真実性の担保」として、事務処理規程の備え付けを選択する場合です。事務処理規程とは、入力期限や電子化の対象とする書類などを定めた社内規程になります。
なお、市販のシステムを利用してスキャナ保存、あるいは電子取引データ保存する場合は提供元のマニュアルを添えるだけでOKです。ただし、自社開発のシステムを利用する場合は別途社内マニュアルが必要なため、エンジニアと相談しながら準備を進めておくと良いでしょう。

領収書の電子化でおすすめのアプリ・ソフト5選

領収書の電子化でおすすめのアプリ・ソフト5選

領収書の電子化におすすめのアプリ・ソフトは、下表の通りです。

アプリ・ソフト 料金プラン スマホ対応の可否 主な機能
楽楽精算
  • 初期費用:10万円(税別)
  • 月額費用:3万円~(税別)
  • 自動読み取り
  • 会計ソフト連携
  • ワークフロー管理
TOKIUM経費精算
  • 初期費用:要問い合わせ
  • ビジネスプラン:月額費用1万円~(税別)
  • エンタープライズプラン:月額費用10万円~(税別)
  • 画像のデータ化
  • 規定違反のアラート
  • 突合点検/原本保管の代行
マネーフォワードクラウド経費

【基本料金:スモールビジネスプランの場合】

  • 年額プラン:35,760円~(税別)
  • 月額プラン:3,980円~(税別)

【基本料金:ビジネスプランの場合】

  • 年額プラン:59,760円〜(税別)
  • 月額プラン:5,980円〜(税別)

【総額】

要問い合わせ (課金対象人数や精算内容によって異なる)

  • 経費明細の自動取得
  • 不備入力防止
  • 経費分析
kintoneスキャナ保存アプリ 月額費用:3,600円~(税別) 要問い合わせ
  • タイムスタンプ一括検証
  • 画像情報の自動登録
  • QRコード付き帳票
DataDelivery 要問い合わせ 要問い合わせ
  • 紐づけ登録
  • 高速検索
  • 外部システム連携

導入するシステムを決定する際は、各社の資料を取り寄せ、トライアルなどで使用感を確認しながら慎重に検討していきましょう。

領収書をスキャナ保存するやり方

領収書をスキャナ保存するやり方

領収書をスキャナ保存する手順は、次の通りです。

  1. 領収書を受領
  2. スキャンし画像データを保存
  3. 経理担当者へデータを送付
  4. タイムスタンプ付与*6
  5. 訂正削除履歴が確保された状態で保存
  6. 第三者による定期検査の終了後、原本を廃棄(電子データは7年間保管)

*6 訂正削除履歴を確認できる、または訂正削除ができないシステムを利用する場合は不要

なお、2.の工程はスキャン以外にも次のような方法があります。

  • スマホアプリ
  • デジタルカメラ
  • OCR処理*7 など

*7 電子化とテキスト化を同時に行う処理

ただし、毎月大量の領収書をスキャナ保存するのは大きな労力がかかります。そのため、抜本的な業務効率化を図りたい場合は、次項で紹介するスキャン代行サービスの利用がおすすめです。

シティコンピュータでは、領収書の電子化を進める企業を支援するために、スキャン代行サービスを展開しています。弊社の特長や利用するメリットは、主に次の5つです。

  • 30年以上の豊富な運営実績とノウハウ
  • 原本の処理やOCR処理もワンストップ
  • 可読性の高い高品質なスキャナ保存が可能
  • 社外に持ち出せない書類もクライアントのオフィスでスキャン
  • 運搬から廃棄までのセキュリティ体制も完備

領収書の電子化は、電子帳簿保存法をはじめとしたさまざまな要件の適合が必要になります。スキャナ保存のやり方や保管に不安がある場合は、ぜひ一度弊社へご相談ください。

まとめ

2022年1月1日に改正された電子帳簿保存法によって、領収書をデータ保存できるようになりました。そして、電子媒体でやり取りする領収書に関しては、2024年1月1日からデータ保存が義務となります。領収書などの税務関連書類の電子化は、発行側・受領側ともにメリットがあるため、早期に導入を進めた方が良いでしょう。
しかしながら、適切に保存・管理するためには、社内ツールの策定や電子化アプリ・ソフトの準備が必要になります。トラブルが発生した際の対応や内部統制の仕組みなども、あらかじめ検討しておくことが大切です。
自社に合った導入体制を整え、領収書の電子化を進めていきましょう。